受診対応が、ずっと嫌いだった。その本当の理由を正直に書きます。

施設看護師として働く中で、ずっと苦手なことがありました。

受診対応です。

受診対応は、施設看護師に求められる重要な仕事のひとつといっても過言ではありません。でもなぜ苦手だったのか。当時は自分でもうまく説明できなかったけれど、今ならやっと言語化できる気がしています。


施設看護師の受診対応って、どんなもの?

高齢者の入所施設では、基本的に看護師が受診対応に行きます。

利用者様の状態が悪化したとき、嘱託医の先生が診てくれることもありますが、それだけでは対応が難しい場合は病院への受診が必要になります。熱が続く、転倒して骨折が疑われる、急に状態が悪くなった。そういう場面です。

嘱託医の先生が判断して紹介状を書いてくれることが多いので、その紹介状を持って病院へ向かいます。

流れとしてはこんな感じです。

利用者様の状態をまとめる
↓
家族に連絡・受診の同行を依頼する
(入院に備えて)
↓
病院に電話して状況を伝え、受診の指示を仰ぐ
↓
付き添いで病院へ
↓
医師に検査結果、病状の説明を受ける
↓
結果を受けて入院か帰施設かを判断
↓
施設に戻って記録・申し送り

文字にするとシンプルですが、実際はいろんなことが同時進行します。施設での業務は続いているし、家族への説明も必要だし、医師への報告もある。さらに病院では待ち時間・検査時間が長く、何時に帰れるか予測できないこともざらにあります。

一人で全部抱えながら、帰り時間もわからないまま待つ。それだけでもプレッシャーなのに、わたしにはもう一つ、苦手な理由がありました。


本当の理由は、ある医師との出会いだった

正直に書きます。

受診対応が嫌いになったのは、ある病院の医師の対応がきっかけでした。

その患者さんはもともと別の病院でかかっていた病気が再燃していました。今回は施設の提携先の病院に受診することになったのですが、その医師からすると自分が最初から診ていない患者さんの対応をすることになる、そういう状況でした。

こちらが状況を説明しようとしても、最後まで聞いてもらえない。話の途中で遮られる。

そして私と家族の前で、こう言われました。

「これは尻拭いですから。尻拭いで私が診てますから」

家族も同席している場で、一方的に。

わたしは黙って立っているしかなかった。その場で何も言い返せなくて、ただ早くここから出たいと思っていた。

声のトーンも、言葉の選び方も、全部が「最初から来るな」と言っているような感じがした。気のせいだったかもしれない。でも当時のわたしにはそう感じた。

そのとき、診察が終わったあとに 付添いの息子さんのお嫁さんがそっと 声をかけてくれました。 「先生の言い方、きつかったわね。 嫌な思いさせてしまってごめんなさいね」 その言葉が、じんわりと染みた。 と同時に、なんとも言えない申し訳なさがあった。 本来ならわたしがご家族をいたわる立場なのに、 逆に慰めてもらってしまったこと。

帰りの車の中で、どっと疲れた。

その医師の言いたいことは、わからなくはない。経緯を知らない患者さんを引き受けることへの不満があったんだろうとは思う。でも当時のわたしには、そんなふうに考える余裕はなかった。

さらに正直に言うと、病院の看護師さんの対応も、当時のわたしにはしんどかった。施設からの付き添い看護師に対して、冷たく感じることがあったんです。「こっちは忙しいのに」という空気が伝わってくるような。

でも今は、その気持ちもわかります。わたしも以前は病院勤務だったから。あの忙しさの中で、施設からの受診対応が重なるしんどさは、身をもって知っています。

わかっていても、当時のわたしにはそれを受け流す余裕が、全然なかった。


当時のわたしに足りなかったもの

今思うと、当時のわたしに足りなかったものがいくつかあります。

ひとつは、自分に許可を出すことでした。

「しんどい」「嫌だ」という気持ちは、ちゃんとありました。でも「これくらいで弱音を吐いてはいけない」「看護師なんだからこのくらい当たり前」と、自分で自分の気持ちに蓋をしていた。感じていたのに、認めてあげられなかった。

ふたつめは、気持ちの置き場所がなかったこと

誰かに話すわけでもなく、吐き出す場所もなく、ただ一人で抱えて消化しようとしていた。でも消化できないまま、じわじわと積み重なっていた。

みっつめは、「相手の言葉は相手のもの」という感覚を知らなかったこと

医師の言葉も、病院スタッフの態度も、全部自分への評価として受け取っていた。相手が放った言葉が、そのままわたし自身の価値になってしまっていた。

HSP気質のわたしは、その場の空気や言葉をダイレクトに受け取ってしまうタイプ。だから余計に、引きずっていたんだと思います。


誰にも言えなかった

この出来事のしんどさを誰にも話せていませんでした。

同僚の看護師さんに話を聞いてもらえたら、少し楽になれたかもしれない。でもわたしは弱音を見せられないタイプで、一人で抱え込むことに慣れすぎていた。

「こんなことで落ち込んでるって思われたくない」

「看護師として当たり前のことができないみたいで恥ずかしい」

そんな気持ちが邪魔をしていました。

今思えば、話せる人に話していたら、もう少し早く楽になれたかもしれない。でも当時のわたしには、それができなかった。


ひとつだけ、今のわたしが当時の自分に言いたいことがあります。

何か自分が劣っているんじゃなくて、まだ知らなかっただけだよって。

知らなかったことは、恥ずかしいことじゃない。しんどかったことも、一人で抱えていたことも、弱さじゃなかった。

もし今、同じような気持ちの中にいる看護師さんがいたら、ひとつだけ。

「しんどい」と感じている自分を、まず認めてあげてください。

それだけでいいです。それだけで、少し息ができる気がするから。

派遣に踏み出すまでの話は こちらの記事に書いています。


でも、その後変わっていきます

受診対応が嫌いで嫌いで仕方なかったわたしが、今では「受診対応、わたしが行きますか?」と言えるようになりました。

どうして変われたのかは、また次の記事で正直に書きます。


最後まで読んでくれてありがとうございます。

しんどい気持ちを一人で抱えている看護師さんに、少しでも「わかる」と思ってもらえたら嬉しいです。またふらっと遊びにきてください。

派遣看護師の始め方が気になる方は こちらの記事も読んでみてください。

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