「看護師 辞めたい」
そう検索して、このページにたどり着いた人もいるかもしれませんね。私もそうでした。夜勤明けのぼんやりした頭で、布団の中でスマホを握りしめて、何度も同じ言葉を検索していた夜があります。
最初に、これだけは伝えさせてください。辞めたいと思うのは、あなたが弱いからでも、根性が足りないからでもありません。 むしろ、ちゃんと自分の気持ちに気づけたから、こうして立ち止まれているんだと思います。それって、すごく大事なことです。
今日は、「実は、道は1つじゃないんだよ」という話を、そっとお伝えできたらと思っています。私はたまたま、常勤も、派遣も、応援ナースも経験してきました。だから、それぞれのいいところも、きついところも、知っている範囲で正直に書いてみますね。読みながら、「ふーん、そんな働き方もあるんだ」くらいの軽い気持ちで受け取ってもらえたら嬉しいです。
私も「もう無理かも」と思った夜があった
まず、勝手ながら少しだけ、気持ちを重ねさせてください。私が常勤時代に「もう無理かも」と思ったのは、こんな時でした。
業務が忙しすぎて、優しくされたいと思っている患者さんの気持ちに、こたえられなかった時。患者さんって、初めての入院、不安な検査・手術を前にして、心細い気持ちでベッドにいる人がほとんどなんですよね。きっと、看護師にちょっと立ち止まって、話を聞いてほしい。安心させてほしい。そう思っている人がほとんどだと思います。私だって、本当はそうしてあげたい。でも、忙しさに飲み込まれると、その余裕すら消えてしまう。そして家に帰ってから、「あの時、もっとこうできたな」って、優しくできなかった自分を責めてしまう。あの夜の感じ、分かる人にはきっと伝わると思います。
ほかにも、つらい場面はたくさんありました。ミスでインシデント報告を書く時。入院・手術・検査・急変がいっぺんに重なって、息つく暇もない時。定時で帰れないのが「当たり前」になっている時。時間外がつかずサービス残業が、職場の空気でなんとなくそうなっている時。
一つひとつは「みんなが耐えていること」なのかもしれません。でも、それが毎日積み重なると、心は静かにすり減っていきます。だから、あなたが今つらいのは、気のせいでも、甘えでもないんです。そこだけは、どうか忘れないでいてほしいなと思います。
看護師が職場を変える方法は、実は3つあります
ここから少しだけ、情報の話を。
「辞めたい」と思った時、世間が教えてくれる道って、たいてい1つだけなんですよね。転職サイトに登録して、別の病院や施設の常勤になる。これがいわゆる王道です。
でも実は、看護師の働き方を変える方法は、ざっくり3つあります。
一つ目、常勤のまま、別の職場に転職する。 二つ目、派遣看護師になる。 三つ目、応援ナース(短期で全国の病院・施設をお手伝いする働き方)になる。
残りの2つを知らないまま、「常勤を続けるか、辞めるか」の二択だけで苦しんでいる人が、本当に多いんです。私もそうでした。だからここでは、3つをフラットに並べてみますね。どれが偉いとか、どれが正解とか、そういう話ではありません。あなたに合うのはどれか、ただそれだけです。
①常勤転職が向いている人
「常勤転職が合う人」「常勤のままがいい人」は無理に派遣にならない方が、のびのびできると思います。
たとえば、こんな人。
自分のペースを守りながら働きたい人。顔なじみのメンバーと、じっくり人間関係を育てていきたい人。職場のつながりを大事にしたい人。ボーナスや退職金、福利厚生がしっかりほしい人。子育て中で、安定した環境がほしい人。
それから、新しい場所に毎回飛び込むのが負担に感じる人。派遣は行く先々で環境も人も変わるので、慣れるまで気をつかうタイプの人には、少し負担に感じる時もあります。あと派遣には、「人が足りている時には更新されない(契約が続かないことがある)」という現実もあります。その不安定さが怖いと感じる人は、常勤のほうが安心して働けると思います。
私は、常勤を続けている人を見ると、いつも素直にすごいなと思います。長年その職場を続けて、責任を持って、後輩を指導して、家庭も大事にしている人。後輩から「あの人に聞けば大丈夫」って頼られている人。あれは、簡単にできることじゃありません。心から尊敬しています。
もしあなたが「やっぱり常勤で、もう少し合う職場を探したいな」と思うなら、それはとても自然で、大切な選択です。そういう時は、看護師専門の転職サービスに、一度そっと話を聞いてみるのも一つの手だと思います。一人で求人サイトとにらめっこするより、「今つらいこと」「次に大事にしたいこと」を誰かに話して、一緒に探してもらうほうが、気持ちもラクだったりするんですよね。世の中には無料で相談だけできるサービスもあるので、「ちょっと話を聞くだけ」のつもりで使ってみても大丈夫だと思います。
②派遣が向いている人(私の実体験)
次に、派遣。これは私が実際にやってみて、「私には、これが合っていたな」と思っている働き方です。
派遣のいいところを、ゆるく並べてみますね。
病院・施設・夜勤なし・日勤のみ等、自分に合った案件を選べる。委員会も、看護研究も、新人教育もない。あの「がっつり体力と時間を持っていかれるやつ」が、まるっとない。時給で働くので、働いたぶんはちゃんともらえる。そして人間関係も、期間が決まっているぶん、こじれる前にそっと終われる。後腐れがない。
「自分の時間を大事にしたい」「業務以外のあれこれに振り回されたくない」という人とは、派遣はけっこう相性がいいと思います。私自身が、まさにそうでした。
派遣のことをもう少し知りたくなったら、登録から働き始めるまでの流れを実体験でまとめた記事があるので、よかったらのぞいてみてください。
→ 「派遣看護師になるには?登録から働くまでの流れを実体験で解説します」
→ 「スーパーナースの評判は本当?派遣と応援ナース、両方やった私の正直レビュー」
③応援ナースが向いている人(私の実体験)
三つ目は、応援ナース。短期(だいたい3〜6ヶ月)で、全国の人手の足りない病院や施設をお手伝いする働き方です。寮付きが多く、知らない土地に暮らしながら働けます。
私はこれで、北海道に行きました。車にぜんぶ荷物を積んで、フェリーで海を渡って。仕事をしながら、その土地のごはんを食べて、休みの日には遠出して有名な観光地に行ったりして。旅と仕事を、まとめて欲張れちゃう働き方なんです。
「いろんな土地に行ってみたい」「期間限定でガッと稼ぎたい」「わりとフットワークが軽いほうだ」という人には、応援ナースはなかなか楽しいと思いますよ。
ちなみに、派遣と応援ナースって、実は同じ会社(私の場合はスーパーナース)でどっちもできたりします。「違いがいまいち分からない」という人は、両方やってみた私の正直レビューにまとめてあるので、よかったらどうぞ。
→ 「スーパーナースの評判は本当?派遣と応援ナース、両方やった私の正直レビュー」
私は、こう選びました
最後に、私自身の話も少しだけ。
私が常勤を辞めたいちばんの理由は、実はネガティブなものだけじゃなかったんです。30歳という区切りでした。ずっと夢だった「海外で暮らす」を叶えたくて。人生は一度きりだし、ワーキングホリデーのビザが30歳ギリギリで、行くなら今しかなかった。「帰ってきても、看護師ならまた仕事は見つかるだろう」——そう思えたことが、最後の一歩をそっと押してくれました。
そして帰ってきてから、友だちが「派遣っていう働き方があるよ」ってそっと教えてくれたんです。それが、私が派遣を始めた最初のきっかけでした。やってみたら、これが思いのほか私に合っていて。理由はシンプルで、私は自分の時間を大切にしたいタイプだから。派遣のほうが、仕事と自分の暮らしを両立しやすかったんです。常勤看護師に付き物の業務内容がないというのも大きかったですね。
それに私は人を引っ張っていくリーダータイプではなくて、誰かをそっと支えるサポートタイプなんですよね。だから、人が足りていないところに派遣で入って、その職場を支える。それが私には、すごくしっくりきました。常勤の看護師さんが入ってきて私の役目が終わったら、「よかったね」って思って、また次に行けばいい。合わない職場だったら、無理せず辞めて次に行けばいい。そのくらいの身軽さが、私には合っていました。
これは「派遣が一番いい」という話ではなくて、あくまで「私には、これが合っていた」という話です。あなたには、あなたに合う道がきっとあります。
ちなみに、「苦手なことって、頑張って克服しなくても、環境を変えるだけでふっと消えることがあるよ」という話を、別の記事にも書いています。今の職場で「自分はダメだ」と思い込んでしまっている人に、そっと読んでほしいなと思います。
→ 「看護師をしていて気づいた。苦手なことは克服じゃなくて、環境で消えるものだった」
3つの道、まとめてみました
| ①常勤転職 | ②派遣 | ③応援ナース | |
|---|---|---|---|
| 雇用の安定 | ◎ 安定 | △ 更新制 | △ 期間限定 |
| ボーナス・退職金 | ◎ あり | ✕ なしが多い | ✕ なしが多い |
| 自分の時間 | △ 職場による | ◎ 確保しやすい | ◯ 期間中は集中 |
| 委員会・看護研究など | あり | なしが多い | なしが多い |
| 人間関係 | じっくり育てる | 期間で区切れる | 期間で区切れる |
| こんな人に | 安定・つながり重視 | 時間と身軽さ重視 | 旅と経験を欲張りたい |
どれかひとつが正解、ではありません。今のあなたの気持ちに、いちばんしっくりくるもので大丈夫です。
そして何より伝えたいのは——どの道を選んでも、また選び直せるということ。私は常勤から海外へ、そこから派遣・応援ナースへと、何度も道を変えてきました。一度決めたら一生それ、なんてことはありませんからね。
それから、もし今、心も身体もすり減っていて、何も考えられない日もあるなら。無理に決めなくて大丈夫です。このページをそっと閉じて、まずはゆっくり休んでください。「3つの道もあるらしい」——今日はそれだけ、頭の片隅に置いておいてくれたら、それで十分です。動くかどうかは、元気が戻ってきてから、ゆっくり決めても遅くないですからね。

