以前の記事で、受診対応がずっと嫌いだったと書きました。
あの記事を書きながら、当時のしんどさを思い出して、正直ちょっと疲れました。
でも今日は続きを書きます。あんなに嫌いだったわたしが、気づいたら「受診対応、わたしが行きますか?」と言えるようになった話です。
きっかけは、ある看護師さんの言葉だった
派遣で施設を転々とする中で、忘れられない看護師さんに出会いました。
ベテランの方で、経験も知識も豊富で、頼りになる人でした。そのひとが、あるとき何気なくこう言ったんです。
「受診対応、好きなんだよね。外に出られるし、気分転換になるし」
……好き?
受診対応が、好き?
当時のわたしには、その感覚が全く理解できませんでした。あんなにプレッシャーで、しんどくて、早く終わりたいと思っていたのに。好きになれるものなの?と。
でもその言葉が、頭のどこかに残っていました。
数をこなすうちに、じわじわ変わっていった
派遣で色々な施設を経験するうちに、受診対応の回数も自然と増えていきました。
最初はやっぱり緊張した。でも回数を重ねるうちに、少しずつ慣れてきた。
病院への電話の仕方も、医師への説明の仕方も、家族への伝え方も。やればやるほど、自分なりのやり方が見えてくる。「あ、前回と同じパターンだ」と思える瞬間が出てきた。
そのうちに気づいたことがありました。
待ち時間が、ほっとしたひとときになる。
施設にいると、常に何かが動いています。処置があって、記録があって、利用者様の状態を見て、スタッフへの報告があって。ずっと頭が動いている。
でも受診対応で病院に行くと、待ち時間がある。椅子に座って、ただ呼ばれるのを待つだけでいい。それがいつの間にか、貴重な息抜きになっていました。
家族との会話が、宝になっていった
受診に同行してくれる利用者さんの家族さんと、待ち時間に自然と話をします。
「今日はどんな様子でしたか」「最近、食欲はありますか」。施設での業務中にはなかなかゆっくり話せない内容が、待ち時間の中でこぼれてくることがある。それがいつの間にか、わたしにとって大切な時間になっていきました。
利用者様の若い頃の話、どんな仕事をしていたか、どんな苦労があったか。施設にいるだけでは知れなかった話を、家族さんが教えてくれる。
施設の中だけでは見えない、利用者様の人生の断片に触れる時間。それが受診対応の中にあると気づいたとき、少し景色が変わりました。
「先生の前でちゃんと説明してくれてありがとうね」
「いつも見てくれてありがとうございます」
そんな言葉をかけてもらえることもある。疲れているときに「ありがとう」と言ってもらえる。それだけで、また頑張れる気がした。看護師をやっていてよかったと思える瞬間のひとつが、受診対応の中にあったなんて。当時のわたしには想像もできなかったです。
極めつけは、パワハラ気質の上司だった
正直に書きます。
受診対応が「好き」に変わった決定的な出来事は、パワハラ気質の上司と同じ職場になったときでした。
その上司と同じ空間にいると、空気が重かった。声のトーン、視線、言葉の端々。HSP気質のわたしには、それがダイレクトに伝わってきた。
そのとき、受診依頼が来ました。
行きます。わたしが行きます。
正直に言うと、利用者様のためという気持ちと同じくらい、「その場から離れたい」という気持ちがありました。
病院に着いて、椅子に座って、ほっと息をついた。
待合室のBGMが、やけに穏やかに聞こえた。いつもと同じ病院なのに、その日は空気がちがって感じた。ここには余計な緊張感がない。誰かの顔色を読まなくていい。ただ呼ばれるのを待つだけでいい。その静けさが、当時のわたしにはとても必要だった。
逃げと言われたら、そうかもしれない。でも当時のわたしには、それが必要な時間でした。しんどい場所から距離を取ることが、自分を守ることになる。そう気づいたのも、受診対応がくれた気づきのひとつでした。
苦手は克服しなくていいこともある
受診対応が好きになったのは、根性で乗り越えたからじゃないです。
振り返ってみると、あのベテラン看護師さんの言葉がなければ、わたしはずっと「嫌いなまま」だったかもしれない。好きな人がいると知っただけで、見え方が少し変わった。それって不思議だなと思います。
数をこなして慣れて、好きな先輩の言葉が頭に残っていて、職場の空気から距離を取れる場所として機能して、気づいたら「そんなに嫌じゃない」になっていた。
苦手を克服したんじゃなくて、環境と経験が変えてくれたんだと思います。
無理して好きになろうとしなくていいです。回数を重ねるうちに、じわじわ変わることがある。そのうちに「この時間、悪くないな」と思える瞬間が来るかもしれない。
そしてもし今の職場がしんどいなら、そこから距離を取れる働き方もあります。派遣という働き方の始め方は、こちらの記事に書いています。
最後まで読んでくれてありがとうございます。しんどい気持ちを抱えながら働いている看護師さんに、少しでも届いたら嬉しいです。またふらっと遊びにきてください。
