胃カメラが要精査だった。北海道で「ガン」と言われ続けた診察室の話

日常・健康

※この記事はわたし個人の体験談です。医療的なアドバイスではありません。体の不調は必ず医師にご相談ください。

北海道に来て一週間も経たないうちに、紹介状を持って総合病院の門を叩きました。北海道に来る前に受けた胃の定期検診で要精査と言われていたからです。知らない土地で一人で、何か悪い病気かもしれないという不安を抱えながら。その話を書きます。

大腸カメラ・胃カメラ第1話はこちらの記事


定期検診のつもりだった胃カメラ、まさかの要精査

北海道に来る前に受けた胃カメラ、年に一度の定期検診でした。自分の中でのプランは決まっていました。「異常なし→北海道へ出発」それだけのはずでした。

検査の時、先生から「去年と同じところを一応今年も組織を取って調べますね」と説明がありました。毎年のことだし、深刻な雰囲気はなかった。だからそのまま結果を待っていました。

ところが後日、病理の結果が「要精査」。入院施設のある総合病院で再検査が必要と言われました。

その瞬間、頭が真っ白になりました。

紹介状を書きますがどこの病院にしますか、と聞かれましたが答えられませんでした。言葉を濁しながら「転勤で県外に行くので勤務地で病院を探します」と答えるのが精一杯でした。

自分のプランにはそんな展開はどこにもなかった。北海道に行って、仕事して、新しい生活を楽しむ。それだけのはずだったのに。何か悪い病気かもしれないという考えが頭をぐるぐると回り始めました。

でも一週間後には出発しなければいけない現実がありました。紹介状を受け取って、帰宅して、荷物の整理が待っていました。持って行くもの、持って行かないもの、捨てるもの。車に詰め込んで準備して、あっという間に出発の日が来ました。不安を抱えたまま、北海道へ向かいました。


新しい職場に慣れながら、病院も探さなければいけない

北海道での仕事が始まりました。新しい職場に慣れるだけでも正直いっぱいいっぱいです。利用者さんの顔と名前を覚えて、業務の流れを把握して、スタッフの人間関係を読みながら、毎日必死でした。

そんな中でも病院を探さなければいけない。仕事終わりにスマホで総合病院を調べて、私の休みに合わせて予約なしで行ける病院を見つけ、朝早めに飛び込みました。

受付で紹介状を渡し、先生の診察を待ちました。その診察室で、空気が変わりました。


診察室で「ガン」と即答された話

年配の先生が、紹介状に記載された画像を見ながら、検査で引っかかった場所の説明を始めました。

聞いていて私は白黒はっきりつけたかった。これが何なのか、再検査が必要なのか、それとも問題ないと言われるのか。だから途中で聞きました。

「あのー先生、見た感じどうなんでしょうか?」

先生の返答は即答でした。

「ガンですね。」

思わず「えぇーーーーー」という声が出ていました。ショックと驚きが混ざった声でした。

今の時代はガンを隠さないというスタンスなのだと思います。正直に話してくれているのだと頭ではわかる。でも心の準備ができていないまま「ガン」という言葉を聞いた瞬間、血圧が下がるような感覚がありました。

私の反応が伝わったのか、先生の言葉が少し柔らかくなりました。

「いやいや、ガンって言っちゃったらあれなんだけど、まぁほっとけばこのまま進行ということはありえるけど、まぁ早期のものであることは間違いないと…」

「早期」という言葉に、少しだけ心が軽くなりました。北海道に来る前のクリニックでは「見た感じはおそらく大丈夫だとは思いますが…」と言われていたので、そのギャップに驚くしかありませんでしたが、早期なら予後がいい。その言葉に希望を持たせました。

その後も詳しく説明していただいたのですが、会話の中に「ガン」「ガン」「ガン」という言葉が何度も出てきました。もうわかったからその言葉は言わないで…と内心思いながら(笑)、なかなかしんどい時間でした。

ただその日は胃カメラはできないとのこと。改めて検査日の予約を取ることになりました。「早期」という言葉を胸に、病院を後にしました。


遠くにいる友人に電話した夜

診察が終わって帰宅して、遠くにいる友人に電話しました。

全部話しました。要精査だったこと、北海道で病院に行ったこと、ガンという言葉を何度も聞いたこと、早期ガンと言われたこと。友人はちゃんと聞いてくれました。話を聞いてもらうだけで、心がすっと楽になりました。遠くにいても友人はありがたい。友人の大切さを改めて実感した夜でした。

胃カメラ当日まで一週間、ネットで色々と調べました。調べると怖くなる。でも早期発見なら治療も簡単と書いてある。頭の中をぐるぐると行ったり来たりしました。

もし入院が必要になったら、派遣はどうなるんだろうとも考えました。三泊四日くらいなら月末から月初にかけて休みが取れるかなーとか、でも来たばかりで即戦力として期待されているのに休めないだろうなーとか、有給は使えるのかなーとか。派遣のデメリットをこんな時に痛感しました。


胃カメラ当日・結果は「病変が見つからなかった」

検査当日、緊張しながら病院へ向かいました。

胃カメラを受けて、結果を聞きました。

先生から告げられたのは「病変が見つかりませんでした」という言葉でした。

「ひとかきがん」という可能性があると説明されました。最初の検査で組織を採取した際に、その時一緒にがん細胞も取れてしまったのではないかということでした。生検(組織を取ること)自体が、ごく初期の病変であれば治療になってしまうことがある。医学的にはそういうことが起こりえるそうです。さらっと説明されましたが、なんとも不思議な話だなと思いながら聞いていました。しかし、検査結果に問題がないという事実は、ずっと胸の中にあった霧をすっと晴らしてくれました。 


患者になって初めて見えた景色

その時、医者という仕事の偉大さを改めて実感しました。

器具を通して技術で身体の中を診て、知識と経験で異常を発見・判断して、必要であればその場で処置まで行う。それは医師という国家資格を持つ人間にしかできないことです。患者として検査台の上に寝て、先生の手に自分の身体を委ねた時、その信頼の重さをリアルに感じました。

普段は看護師として医師の隣で働いています。でも患者として受ける側になると、また違う景色が見えます。声をかけてくれる一言、手際よく進む処置、検査後に丁寧に説明してくれる姿。当たり前のように見えて、当たり前じゃない技術と責任がそこにある。

医者という職業が存在していてくれてありがとうと、心から思いました(笑)。この体験があってから、ドクターへの敬意が一段と増しました。いつも身近で働く看護師として、そういう先生たちをしっかり支えていきたいと改めて思いました。 


この体験で気づいたこと

自分の寿命が脅かされるかもしれないという経験を通して、 自分が本当に大切にしたいものの輪郭が、 くっきりと見えてきました。

独りよがりの考えをやめよう。人に期待しない、見返りを求めない。自分の過去を全部受け止めよう。自分軸で生きていこう。ネガティブな考えより、楽しそうなことに目を向けよう。

私の大切なものは、健康。仕事を通して社会とつながること。やりたいことをやって、食べたいものを食べること。それだけで十分だと、心から思えるようになりました。

身体のサインは無視しないでください。怖くても、受けてよかったと思っています。

最後まで読んでくれてありがとうございます。
このブログが、誰かの「わかる」になれたら嬉しいです。
またのんびり読みにきてください。

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