言わなくていいことがある、と気づいた話。正直でいることと誠実でいることは違う

人生論

言わなくていいことがある、と気づいた話。正直でいることと誠実でいることは違う

ずっと「正直であることが一番誠実だ」と思って生きてきました。隠し事をしない、思ったことは伝える。それが人として正しい姿だと。でも最近、2つの出来事を通してその考えが少し揺らぎました。言わないことも、立派な選択なのかもしれない。でも私自身はどうなんだろう、という話です。


2つの出来事が私の価値観を揺さぶった

ひとつはラジオの人生相談。もうひとつは見ていたドラマ。どちらも「真実を話した」ことで関係が壊れていく話でした。聞きながら「なぜ言ってしまったんだろう」という気持ちと、「でも言いたくなる気持ちもわかる」という気持ちが、ぐるぐると交差しました。


ラジオで聞いた話・真実を墓場まで持っていく覚悟

ラジオの相談内容はこうでした。

ある女性が妊娠しましたが、子どもの父親は結婚してくれませんでした。そこへ「それでもいい」と言って結婚を申し出てくれた別の男性がいました。その時、二人の間には約束がありました。子どもの本当の父親については、義両親には話さない。その真実は二人だけの秘密にする。それが結婚の条件のひとつでした。義両親も喜んでくれて、家族として生活が始まりました。

でも彼女は、その約束を破りました。抱えきれなくなって、義両親にすべてを打ち明けてしまいました。結果、夫は結婚の解消を申し出ました。

相談を受けた先生の言葉が印象的でした。「なぜ覚悟を決めて、真実を墓場まで持っていかなかったんですか」と。

聞いていて、複雑な気持ちになりました。

先生の言葉はわかる。約束をして、結婚してもらって、それでも破ってしまった。義両親の人生も夫の人生も、自分の「言いたい気持ち」によって揺るがしてしまった。

でも同時に、彼女の気持ちもわかってしまう。

罪悪感を毎日抱えて生きるのは、想像以上に苦しいです。笑顔で話す義両親を見るたびに、心の中で自分を責め続けることの重さ。自分の血がつながった孫だと信じて、目を細めて可愛がっている姿を見るたびに、その罪悪感はさらに重くなっていったんじゃないかと思う。 「自分に嘘をついて生きている」という感覚。正直でいたい、まっとうに生きたいというまっすぐな気持ち。それが彼女を動かしたんだと思う。

正直に言うと、先生の「なぜ言ってしまったんだ」という一方的な責め方には少し違和感もありました。言わずに生きていく覚悟というのは、並大抵のことではないはずで。何かを抱えたまま生きていくのは、想像する以上に辛いことだと思うから。

そしてこの話の根本にある問題は、もしかしたら別のところにあるんじゃないかとも感じました。妻が夫のことを本当に好きではなく、妥協して結婚したこと。そこに、すべての歪みの原点があったのかもしれない。

これは答えのない、難しい問題です。


ドラマで見た話・感情は整理してから共有するもの

もうひとつは見ていたドラマの話です。

結婚している女性が、別の女性に出会い、心を奪われてしまうという内容でした。まだ関係が始まったばかりの早い段階で、夫に気持ちを打ち明けてしまいます。

見ていて思ったのは「まだ言わなくてもいいんじゃないかな」ということでした。気持ちが生まれたばかりの段階で、そのまま夫に投げてしまうのは、正直というより「感情の放出」に近い気がして。

感情が生まれた瞬間に伝えることが「正直」なのかどうか。まだ自分の中で答えが出ていない段階のまま、相手に受け取らせてしまうことにもなる。それって相手にとってはかなり重荷なんじゃないかと思いました。

まあドラマなので、視聴者を引き込むための展開といえばそれまでなんですが(笑)。でも夫の立場になって考えると、なかなか辛い。何も悪いことをしていないのに、突然「あなた以外の人を好きになってしまったかもしれない」と告げられる。受け取る側の痛みを想像すると、やっぱり「もう少し整理してから話してほしかった」と思ってしまいました。


真実を言う前に、3つだけ自分に問う

この2つの出来事を通して、私なりに整理したことがあります。

何かを「言うべきか」迷ったとき、この3つを自分に問うようになりました。

①これは「相手のため」か、「自分が楽になるため」か

罪悪感から逃れたい、苦しさを下ろしたい。その気持ちが先に来ているなら、それは誠実さではなく「感情の丸投げ」になることがある。

②相手はこの真実を引き受ける立場にあるか

真実を伝えることは、相手に「受け止める責任」を強制する行為でもあります。ラジオの義両親は、その事実を知ることで何か選択できたでしょうか。おそらく答えはNOです。

③今、言う必然性があるか

感情が生まれたばかりで、まだ自分の中で答えが出ていない段階なら、それは「今言わなければならない」状況ではないことが多い。少し時間を置いて、自分の気持ちが整理されてから伝えても遅くはないはずです。


「言わない自由」を持てる人は強い。でも私には難しい

墓場まで秘密を持っていける人は、本当に強いと思います。何かを心の奥に閉じ込めたまま、何事もなかったように生きていく。それは犯罪を犯してばれないように生きていくようなものとでも言うのか、想像するだけで息が詰まります。

正直に言うと、私にはそれが難しい。

私はどちらかというと、すべてが壊れてしまうかもしれなくても、事実を話して自分の身を軽くしたいタイプです。自分が抱えきれる程度の秘密だけで生きていきたい。自分に正直でいたい。そういう人間です。

だから今回の2つの話、どちらが正しいとは言えません。言わない覚悟を持てる人も、言わずにはいられない人も、どちらも間違いじゃない。ただ「自分がどちらのタイプか」を知っておくことは、大事なことなんじゃないかと思っています。

言わないことを選べる人は強い。でも自分に正直に生きることを選ぶ人も、また強い。答えのない問いだけれど、考えてみると自分のことがよく見えてくる気がします。

自分の気持ちを整理するという意味で、 こちらの記事も読んでもらえたら嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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