「看護師に向いてない」とずっと思っていた。病院が合わなかった私の話 

病院が合わないと感じる看護師が病院時代につらかったこと 施設看護のリアル

「病院、合わないかもしれない」

そう思ったこと、ありませんか。

私は病院で8年働いたあと、海外に行ったり戻ったりしながら、いつの間にか施設で働くのがメインになりました。今も派遣で、施設を中心に探しています。

病院にいたころは、ずっと「私は看護師に向いていないんじゃないか」と思っていました。まわりはちゃんとやれているのに、私だけどこか消耗している気がして。

でも今になって振り返ると、向いていなかったというより、合っていなかっただけだった気がします。この2つは似ているようで、たぶん別のものです。

この記事では、私が病院の何につらさを感じていたのかを、できるだけ具体的に書いてみます。あと、病院の良かったところももちろんあったので振り返りたいと思います。

患者さんと話す時間が、いつも足りなかった

いちばん大きかったのは、これでした。

病院はとにかく忙しくて、患者さんおひとりと向き合う時間が、どうしても短くなります。もう少しお話を聴きたいなと思っても、次にやることが列をなして待っている。

やらなければいけない業務そのものも、大きいものからこまごまするものまで多いです。処置、配薬、検査、清潔ケア、排泄ケア、入院対応、多職種連携、記録等。ひとつずつは大したことがなくても、積み上がると一日が埋まります。

一日の終わりに思い返して、「今日、患者さんとちゃんと話したのって何分だろう」と思う日がありました。看護がしたくて看護師になったはずなのに、と。

一日の終わりに疲れていたのは、走り回ったからじゃなかった

病院に来られる方は、若い方から高齢の方まで、本当に幅広いです。

年代が違えば、届く言葉も届き方も変わります。認知機能の状態によっても、どう説明するのがいちばん伝わるのかは変わってきます。だから一人ひとりに合わせて、言葉の選び方を毎回切り替えることになります。

これは看護として当たり前のことですし、大事なところだと思っています。ただ、私はここでごっそり消耗するタイプでした。

一日の終わりにどっと疲れていたのは、走り回ったからではありませんでした。気を使いすぎて、心のほうが先に疲れていたんだと思います。

職場の人との距離でも似たことが起きていて、そちらは別に1本書きました。人間関係のほうで消耗しやすいなという方は、こちらもどうぞ(→【看護師の人間関係がつらい。HSP気味の私は「6ヶ月で終わる」に救われた話】)。

家に帰っても、頭の中はまだ勤務中

そして、自分でもいちばんどうにもできなかったのが、これでした。

病院にはいろいろな事情を抱えた方がいらっしゃいます。ご病気のことだけでなく、生活のこと、ご家族のこと。そういう話を聞くと、私はどうしても持ち帰ってしまうんです。

しかも、思い出す場面がだいたい決まっているんです。

  • 寝る前、天井を見ながら、ふと
  • 次に出勤する日の、前の夜
  • 車を運転していて、病院の建物が見えたとき

手術、うまくいったかな。退院して元気にしているかな。仕事、無事に復帰できたかな。

心配しようと思って心配していたわけではないんです。勝手にふっと出てくる。休みの日、身体は休んでいるのに、頭のほうだけ残業している感じでした。

切り替えが上手な方は、まわりにちゃんといました。ああいうふうになれたらいいなと思いながら、私はなれませんでした。

毎日、どの患者さまを受け持つか分からない、という緊張感

もうひとつは、出勤するまで、その日にだれを受け持つのか分からないことでした。

検査入院、手術目的の入院、そこに緊急入院も入ってきます。病棟の出入りが毎日大きくて、受け持ち患者さまを確認するまで今日がどんな一日になるのか分かりませんでした。

手術の日はお迎えに行って、戻ってきたら術後の管理。抗がん剤の治療をされている方がいれば、いつもより一段細かく様子を見ながら動きます。

そしてときどきあるのが、他の科の病棟が空いていなくて、うちの科に転棟してくるというパターン。やったことのない検査や、初めて見る治療が一緒についてきます。
今日から勉強です、という日がありました。もちろん調べますし、先輩にも聞きます。それでも、知らないことを抱えたまま勤務に入る日は、やっぱり緊張しました。

それでも、病院には病院の良さがありました

もちろん、病棟の楽しさや良さもあります。

まず、看護師の数が多いのは良かったです。若い看護師さんが多くて、同世代もいて、話が合う。休憩室がにぎやかでした。あの感じは今でもいいなと思います。

勉強になる環境でもありました。院内の勉強会が頻繁にあって、出れば何かしら知識となって持って帰れる。最先端の治療や、医学のほうで今どういう流れになっているのかに触れられる機会もあって、そういう日はモチベーションが上がりました。

そして、勉強したことをそのまま患者さんに返せます。しかも反応がすぐ返ってくる。ここは病院のいちばん大きいところかもしれません。看護師としてのやりがいを感じやすい場所だと思います。

自分のやりたい分野を極めたい人にとっても、環境が整っています。認定看護師のような道もありますし、そこを目指せる仕組みがある。

なので、病院が悪いという話ではまったくないんです。合う人には、これ以上ない場所だと思います。

合わなかったのは、看護師のほうじゃなかった

私は長いこと、この2つを混ぜていました。

「病院がつらい」と「看護師に向いていない」。

つらいのは目の前の職場のことなのに、結論はいつも自分に向かっていました。まわりはできているんだから、できない私の問題だろう、と。

いま言葉にするなら、あれは「できない」ではなかった気がします。管理が必要な人や重症度が高い患者様の前では、自分の看護師としての技術や判断がそのまま命に繋がってくる。その重さを、私はだんだん受け止めきれなくなっていました。

でも当時は、そう感じること自体がいけないことのように思っていました。責任を重いと感じる私は、看護師に向いていないんだ、と。

でも、場所を変えたら消えた苦手が、私にはいくつもありました。この話は前に1本書いています。今の職場で自分を減点し続けているなという方は、こちらもどうぞ(→【看護師をしていて気づいた。苦手なことは克服じゃなくて、環境で消えるものだった】)。

もちろん、病院が合わない人が全員施設に合うわけでもないと思います。施設には施設の大変さがあります。

私も移る前は不安でした。ただそれは、自分に務まるかどうかという不安ではなくて、知らない世界だからどういうところなのか分からない、という不安でした。中がまったく見えないところに行くわけなので、それはそれで落ち着かないものです。

施設で実際にどんな仕事をしているのかは、こちらに書いています。医療処置がどのくらいあるのかが気になる方は、こちらをどうぞ(→【施設看護師の仕事内容って実際どう?病院から来た私が感じた違い】)。

「施設に行ったら腕が落ちるんじゃないか」が引っかかっている方は、こちらのほうが近いかもしれません(→【病院から施設に移って、スキルは落ちたのか。離れたものと、増えたもの】)。

では今の職場ではどうなのか、というところは別に1本書きました。気を使いすぎる自分のままで続けられる場所があるのか、が気になっている方は、こちらもどうぞ(→【患者さんとのあいだに、もうひとりいる。施設看護師になって、距離が取れて楽になった話】)。

おわりに

病院が合わないと感じているとき、いちばんつらいのは、その気持ちを誰にも言えないことかもしれません。言ったら甘えだと思われそうで。

でも、合う合わないは能力の話ではない気がします。同じ人でも、場所が変わると出てくるものが変わる。私はそれを、実際に場所を変えてから知りました。

看護師の職場は、病院だけではありません。施設、訪問、クリニック、デイサービス。速さも濃さも、けっこう違います。

私はたまたま、派遣という期間を区切って働ける形で施設に出会いました。合わなかったら次でいい、と思えたので動けたところはあります。試してみてから決められるのは、派遣のいいところかなと思います。

始め方はこちらにまとめてあります。まず何をすればいいのか分からない、という方はこちらからどうぞ(→【派遣看護師になるには?登録から働くまでの流れを実体験で解説します】)。

看護師を辞める前に、場所を変えてみる。そういう順番も、あっていいと思います。

最後まで読んでくれてありがとうございます。またふらっと遊びにきてください。

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